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北海道営業所設計者インタビュー
– お忙しい中お越しいただきありがとうございます。本日は弊社北海道営業所を設計していただいた板垣和宏建築設計事務所の板垣さんにお越しいただいております。板垣さん、本日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
– 今回北海道営業所の設計を板垣さんに依頼した経緯からお聞かせ願えますか。
(田邉) 元々板垣さんはうちの会社のロゴを作ってくれたマリマリから「旦那の店の内装やってくれた人が居るんだけど紹介しようか?」ということで紹介していただきました。
今回の千歳空手道場以前にも、目黒本社の内装工事も手掛けていただいています。Vineyard Works が北海道に進出するにあたって、南千歳にある千歳アルカディア・プラザの小さいサイズの部屋を事務所としてお借りしてたんですけれど、何人か採用が進んで狭くなってしまって、千歳アルカディア・プラザで広い部屋も紹介されたんだけど、やっぱり好きに内装弄りたいなと考え、不動産屋を巡っていたところ、空手道場を見つけてちょっと汗臭いけれどいいかと言うことで決めました。
それで板垣さんに、空手道場を借りちゃったんですけれど、ここでやってもらえますか?とお伺いしたところ、「いいですよっ!」と快い返事がいただけたのでお願いすることになりました。
– そのような無茶ぶりオファーをお聞きになられて、最初板垣さんはどのように思われましたか?
ここ (目黒本社) をやった時に面白いことをやって気に入ってもらえたので、僕にオファーが来たということは千歳でも普通のオフィスではなく、また何か面白いことをやりたいんだろうなあと思いました。
パーテーションで仕切られた部屋があって、フリーアクセスフロアになってて絨毯が引いてあって、そこに普通のオフィス家具が置いてある「普通のオフィス」を求めているのではなく、わざわざ僕に声をかけてもらったというのは、たぶん働く環境としてちょっと変わった面白いオフィスにしたいんだろうなという感じだったので、それに応えてみようと。自分としても、北海道の仕事をやってみるというのも面白い挑戦だと感じてやらせていただくことになりました。
– 田邉からこういうイメージにしてくれという注文はありましたか?
具体的な注文としてもらったのは、機能的な部分で言うとお客様のトイレを作りたい、その他打ち合わせ室が2つ、ちょっと大きめな会議室と小さめの会議室を作りたいと。それ以外は基本的にオフィススペースとして執務空間にしたいといった話でした。
– 目黒本社と北海道でイメージを合わせるというようなことはしましたか?
元々の建物が全く違ったので、今回は最初からその方向は考えませんでした。
元々が空手道場の広いスペースだったので、ここ (目黒本社) から持っていけるアイデアはあまり無く、本社のイメージにあわせるという事は全く考えませんでしたね。
– それでは北海道オフィスの内装工事で意識された点はどのようなところでしょうか。
まず、社長 (田邉) の要望に、「遊び」が欲しいという意向は強く感じたので、普通に綺麗なものを作っても喜ばれないだろうなということは感じていました。
この物件は広いワンルームだったので、空間の問題を解決するような必要は有りませんでした。
小さいスペースを更に小さく割っていくと色々問題がおきやすいですが、遠隔地からでも現場の疑問に対する指示は出しやすかったです。
特徴は床の扱いと間仕切りを斜めにした点です。大きさの違う二つの会議室は連続した斜めの壁で間仕切ることで大小大きさの違う会議室を作りました。執務室は道路に面して窓が多かったので、窓際に座れる家具(のようなもの)を配置しました。
また、通常なら玄関にセキュリティをかけるところですが、今回はセキュリティ設定をしませんでした(勿論、執務室エリアにはセキュリティついてます)。しかし、その状態だと玄関からの人がわからなく困るということで、執務室から玄関の様子が窺えるように半透明な素材を45cm幅でベニヤと混ぜ合わせて使用しました。
床に関してですが、オフィスはフリーアクセスフロアが主流なのですが、この物件では新規に床組することは難しかったので違う方法を考えました。
コンパネ(厚さ12mmのベニヤのこと)を5cmずつ隙間を空けて配置し、その隙間に配線を通せるようにして簡易的ですがフリーアクセスを実現しました。5cmの隙間は基本的にはコンパネの5cm幅の切れ端をはめますが、配線を通すところはそれを外してコの字型の専用のカバーで隠せるようにしてあります。
– それでは実際に北海道オフィスの内装についてご紹介いただけますか。
はい。まず玄関ですが、はじめシャンデリアを吊ったり面白くしようかとも思ったんですが、今回は予算と時間の面で作り込むのが難しく、ほぼ元の空手道場のままです。
田邉さんと雑談している中で、引き戸を開けたら世界が変わるというのも面白いねという話になり、その方向で行こうということになりました。
会議室は中の様子が覗けるようになっています。とは言っても顔がはっきり見えるほどではなく、あの髪型だから田邉さんかなーていう位の微妙な見え方です。
そして、執務室はフリーアドレスで作業をすることを前提にした机の配置としました。
オフィスのトレンドとして、交流スペースやコミュニケーションスペースみたいなものを設けることが多かったりします。違うプロジェクトの人たちが話し合える空間を設け、新たな気づきが生まれる効果を期待した作りになっています。一昔前の喫煙スペースというか。
デスクは初期の段階で10枚位入れておいて、さらに追加で入れられるようにしています。机を増やしやすく、拡張し易い作りにしています。
– ちなみに、天井は青色ですけど、玄関は白色っていうのは先程仰られた、玄関を開けると世界が変わるという話の一環なのでしょうか。
そうですね。はじめ、玄関は真っ白で入口を入ると赤くしたり、会議室は緑に、とか考えていたんですが、赤緑は目がチカチカするので、あと奥の青が強めの青だったんで、それ以外はおとなしくしようかなと思い青と白だけにしました。青は田邉さんから、会社のロゴの青を使いたいという要望をいただいたので近い色にしています。天井を強い色に塗ることはあまり経験が無いので、怖かったのですが、塗ってみたら意外としっくり来たので、こういうのも有りなんだなあと思いました。
– 内装について、板垣さんの性格が出ているところはあったりしますか?
性格的にいったら僕はいい意味で大雑把なところが有ると思います。最近だんだん大雑把になっていますね。今回大雑把だったから出来たようなことがあって。大雑把って言うと聞こえが悪いですが。
もともとはミリ単位で細かく設計していたんですが、建物って正方形とか長方形とかっていっても、絶対に狂っているんですよ。その辺の狂いの調整を上手くやりつつ細かいところの収めがうまくいくように指示を出したのがうまくいったと思います。
僕は、見せ場と見せ場じゃないところを割り切るタイプだと思います。人によっては本当に細かいところまで詰めていくんですけど、僕はコストの厳しい仕事をやるのを多かったせいか、最終的な形をまとめるということを第一優先に考えます。
インテリア的な見せ場でいうと、間仕切りが半透明で抜けている部分と、そうじゃない部分。間仕切自体を斜めにしている部分。あとは机の形が変わっているのが見せ場かなあと思います。それ以外は大工さんが腕の良い方だったので、ある程度は任せることが出来ました。何故か僕も机を切ったり組み立てたりしてました。(笑)
– 苦労したことは何ですか?
自分は普段東京近郊を中心に活動していて、やっても関西方面の仕事なんですが、今回寒冷地の仕事をはじめてやることになりました。
寒冷地の建物には寒冷地仕様というのもあるんですけど、ここは特に寒い地域なので、大工さんや設備屋さんに「ここではこれじゃダメだよ」なんて言われながらやりました。勉強になりましたね。
あと、引っ越しの前日か前々日でしたか、入り口の階段がいきなり崩落しましたね(笑)人に貸す気のある階段ではなかった(笑)
宅配便の方が来た時いきなり壊れましたね。貸主さん側の補強工事が入っていて、もう引き渡すよっていう段階で、Amazonかなにかで注文した商品を宅配業者の人が運んできてくれたときにバキッて(笑)
幸い配達の人も怪我なくてよかったんですけど。家主さんが直してくれたんですが。そんなこともありました。
– 最後に一言、北海道営業所を手がけてまとめの感想をお願いします。
今回は千歳市に新拠点を作るという事でお声掛けいただきありがとうございます。ローコストなので工事体制を上手く作らないといけなかったり、遠隔で現場に指示を出したり色々難しいところも有りましたが、田邉様をはじめとした Vineyard Works の皆様のご理解にも恵まれ、なかなか面白いオフィスをデザインさせていただく事が出来たと思います。
ちょっと変わった事務所空間だと思いますので、これから皆様がどのように使われていくか楽しみにしています。
– 本日はお忙しい中インタビューのお時間を取っていただき、ありがとうございました。また弊社が新拠点を作る際にはよろしくお願いします!